今まで見たなかでも、特に強く印象に残っているSF映画はいくつかあります。ごく小さい頃は割と単純なSF活劇を見ていたと思いますが、小学校高学年か中学生位になると、ハリウッドのSF映画も実験的な試みのあるものが増えていったのと思います。そんなSF映画の変革期に作られたものも大変印象に残っています。それまで見ていたSF映画ははほぼ100%と言っていいくらい時代設定が未来のお話だったと思います。
また未来と言っても、科学的に推測しうるようなものではなく、荒唐無稽な、わりと夢物語的な設定だったと思います。感銘を受けたそのSF映画は、時代設定が現代で、登場人物たちもアメリカのごく普通の町に住むごく普通の人達といったものでした。今でこそ、アメリカのSF映画では、そうした設定の方が多いように感じますが、その設定だけでも、当時には画期的なものであったと覚えています。主人公の男性が、何でもないようなある出来事をきっかけに、まるで何かに取りつかれたように、漠然としたある形状が頭の中から離れなくなっていきました。
それまで、妻子もおり、ごく健全なアメリカ市民としての彼の生活は一変したものとなります。視聴者にも、主人公が一体どういう状態に陥っているのか全く理解できないまま話は進んでいくのですが、ごく普通に生きる人間が、何か得体のしれないような状態になってしまうという物語も、それまでの単純なSF映画の物語と違い、見る側の感情にもリアル迫ってくるものでした。結局それは宇宙の知的生命体のなせる業で、彼は最終的にその知的生命体とともに宇宙へと旅立っていくというその終わり方もまた、自分のいる世界もまたそうした可能性のあるもののように感じさせる、子供心にも、それまでとは全く違う肌で感動を味わうようなエポックメイキングなSF映画でした。